【ONO-7475 第Ⅰ相試験(ONO-7475の非小細胞肺がんに対する治験)について】のお知らせ
2021.07.12
ONO-7475 第Ⅰ相試験(ONO-7475の非小細胞肺がんに対する治験)について
ONO-7475第Ⅰ相試験について
私達の教室では、EGFR遺伝子変異を有する肺癌に対する新たな治療法の開発を目的として、小野薬品工業株式会社の企業治験であるONO-7475第Ⅰ相試験を実施しています。
【治験の背景】
これまでに、肺癌において治療標的となる遺伝子異常がいくつか同定されています。中でも、EGFR遺伝子変異を有する肺癌に対しては、第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)オシメルチニブが高い有効性を示すことが明らかとなり、治療薬が本邦でも承認されて、一般臨床で使用されています。
細胞には、細胞分裂によって増殖するための複雑な命令系統が存在します。細胞が命令を伝えるためにはいろいろなタンパク質の働きが必要であり、そのタンパク質のひとつが「アクセル(Axl)」です。この治験で使う治験薬は、ONO-7475というお薬で、Axlタンパク質の活性化を阻害する働きを示します。
基礎研究では、Axl発現が高いがん細胞を移植した動物モデルにおいて、ONO-7475とEGFRチロシンキナーゼ阻害剤を併用投与した場合、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤のみを投与した場合に比べて、効果が高いという結果が得られています。
これらのことから、Axlの働きを阻害するONO-7475を併用することによって、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤の効果がさらに改善することが期待されます。
図1 EGFRチロシンキナーゼ阻害剤のみを投与した場合
図2 ONO-7475とEGFRチロシンキナーゼ阻害剤を併用投与した場合
【治験に参加できる方】
1)年齢が20歳以上の患者さん
2)根治照射不能なⅢB/ⅢC/Ⅳ期又は再発の非小細胞肺がんと診断された患者さん
3)組織診または細胞診により肺腺がんであることが確認された患者さん
4)EGFR 遺伝子のエクソン19の欠失又はエクソン21(L858R)の変異が確認された患者さん
5)ONO-7475の初回服用日前日から15日目の検査終了時まで入院が可能な患者さん(ONO-7475の適切な服用量を決めるパートのみ)
6)画像診断で病変が確認できる患者さん
7)血液およびがん組織などの遺伝子検査に同意いただける患者さん
8)全身状態が良好な(歩いたり、身の回りのことが自分でできる)患者さん
【治療】ONO-7475とオシメルチニブを1日1回朝食後に連日内服して頂きます。
本治験は適切な服用量を決めるパート(ステップ1)と適切な服用量での安全性および有効性を確認するパート(ステップ2)という2つの段階に分かれています。
【ステップ1の目的】
ONO-7475の適切な服用量を決めるパートです。どのような副作用がどのくらいの頻度で発生するかを調べ、治療に適したONO-7475の用量を決定します。
【ステップ2の目的】
ONO-7475の適切な服用量での安全性および有効性を確認するパートです。
ステップ1で決定した用量における、EGFR肺癌に対する効果と副作用を調べます。
【当院の本治験に関するお問い合わせ先】
治験責任者/山田 忠明 京都府立医科大学附属病院 呼吸器内科
治験担当者/中邨 亮太 京都府立医科大学附属病院 呼吸器内科
〒602-8566 京都市上京区河原町通広小路上ル梶井町465
TEL:075-251-5513 / FAX:075-251-5376