京都府立医科大学大学院医学研究科 呼吸器内科学

検査・治療

気管支鏡検査

呼吸器内科では年間およそ300例の検査を実施しています。

肺癌診療の進歩に伴い、気管支鏡検査も多種多様化しており、最近では、肺癌治療耐性後の再生検などで、患者さんからつらかったと言われることもある気管支鏡検査を複数回受けていただくことが増えました。

当科では、より患者さんの苦痛の少ない、そして、診断精度の高い気管支鏡検査を目指して、  積極的に新しい手法を導入しております。

CRYOBIOPSY (凍結生検) NEW!!

欧米では、以前から気道閉塞解除、間質性肺疾患や肺癌の診断に用いられており、本邦でもERBE社のクライオプローブが2017年3月に保険適用となり当院でもいち早く導入しました。(関西初)

軟性クライオプローブの先端部がJoule-Thomson効果で約-45℃の低温となって組織を凍結してアイスボールを形成し、周囲ごと引きちぎることで組織を採取することができます。

従来の鉗子生検検体の面積はおおよそ通常鉗子で2-3mm2、GS小鉗子で0.5-1mm2であるのに対し、cryobiopsyでは10-15mm2と非常に大きく、挫滅が少ない良質な組織が採取できることが最大のメリットです。

デメリットとして、アイスボール状の検体が鉗子チャンネルを通過しないため、毎回の生検でスコープごと引き抜く必要があり、出血への万全な対策が必要なことです。すでに海外で有用な出血対策がいくつか報告されており、当院でもそれらを導入しています。

2017年721日にアムコ社とオリンパス社と三笑堂の協力を得て、院内でブタ肺を用いたcryobiopsyのデモを行いました。

下記のFacebookのページにデモの様子と手技のコツについて詳細にレポートしています。

 

 

 

 

CRYOのブタ肺を用いたデモの様子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            デモで得られた検体は大きいもので長径1cm

 

 

 

 

 

 

 

大きい組織が採取できる分、万全な出血対策が必要です。

CRYOでは介助にも多くの役割を素早くこなすことが要求されます。

デモでも色んなバルーンカテーテルをテストし、実際の手技での問題点を確認しました。

 

 

患者さんの満足度をより上げるための取り組み

・前投薬

海外のガイドライン(BTS)では鎮静剤とオピオイド系(麻薬)鎮痛剤の併用が推奨されています。本邦でも鎮静剤であるミダゾラムと、オピオイド系鎮痛剤であるフェンタニルの併用の有用性における論文が最近発表され、各施設で普及が進んでいます。

当科でも以前からミダゾラムを使用しておりましたが、希望された患者さんにはフェンタニルを併用することで、より良い深さの鎮静が得られ、検査がより安全に、快適にできるようになりました。

フェンタニルによる副作用が現在まで当院で問題となったことはなく、ミダゾラムでまれにみられる脱抑制で患者さんの体動が強くなることが滅多となくなり、血圧の変動も少なく、ミダゾラムの使用量が減る、といった良い側面が目立つ印象です。

・麻酔噴霧カテーテル

当院でも2017年度より導入し、従来のシリンジでの麻酔よりもキシロカイン使用量と咳が全体に減りました。

・気管支鏡検査に関するアンケート

当院で、学会ガイドラインと同様の質問項目のアンケートを行いました。

(下表①~⑦、スコア1-5 で1が最良、5が最悪。②のみ有無で答える)

対象や数に偏りはあるものの、全体に上記の導入の評判は良好です。

咽頭麻酔はこれまでの論文等でもスコアが悪い傾向にありますので、もし患者さんの希望があれば省略し、内視鏡下のカテーテル噴霧で代用します。

 

主要な検査について

EBUS (超音波気管支鏡)

気管支鏡での超音波は2種類あり、当科では縦隔肺門病変へのCP-EBUS(EBUS-TBNA法)を2010年に、末梢肺病変へのR-EBUS(EBUS-GS法)を2011年に導入しています。

EBUS-TBNA  年間約80件

当科では通常の診断目的に加え、術前でのステージング目的のEBUS-TBNAも積極的に行っています。より良い治療方針を決めるために、PETで有意な集積のない短径1cm前後の微小なリンパ節を穿刺する機会も多いです。

EBUS-TBNAの強みは、診断率が90%以上で高いこと、安全で低侵襲であることであり、縦隔・肺門付近の肺病変にもEBUS-TBNAを積極的に行います。

経気管的、経食道的でアプローチ可能な領域が異なることと、両者を組み合わせることで診断率がさらに高まることから、経食道的に行うEUS-B-FNAも積極的に行っております。

EUS-B-FNAは検査自体がEBUS-TBNAより全般に楽なので、呼吸状態が悪い患者さんに対しても安全に実施しやすいです。

最近消化器科のEUS-FNAに追随する形で新しい穿刺針が続々発売されており、当科でも多種類の穿刺針を症例や用途に応じて使い分けております。

(A) CT、(B) 透視画像、(C) エコー画像。右S6の縦隔側へは鉗子の挿入が困難なことが多く、EUS-B-FNA (上段) あるいはEBUS-TBNA (下段) が有効であることが多いです。

(A) CT、(B) 透視画像、(C) エコー画像。食道は気管壁と比べて伸展しやすいため、アングルをかけて水平方向へ穿刺しやすいです。

(A) CT、(B) PET-CT、(C) エコー画像。#4Lリンパ節でこの症例のように、深部のリンパ節を穿刺する場合は、経気管アプローチでは刺入角度をつけやすい25-Gの穿刺針を選択する、または、軟骨がないため穿刺が気管より容易な、経食道アプローチを選択するといった工夫をします。

 

EBUS-GS 年間約160件 うち3cm以下 約110件

EBUS-GS法の登場で、従来難しいとされた透視で見えない微小病変の診断率も飛躍的に向上しました。

しかし、最近の潮流として、進行期の非小細胞肺癌では、複数の検査に提出するためにたくさんの組織検体量が必要ですので、ガイドシースを介すことで1サイズ鉗子が小さくなるEBUS-GS法でなく、R-EBUSと通常サイズの鉗子あるいはcryobiopsyを使用することが当院では多いです。

EBUS-GS法は、当院では術前診断目的など早期の微小な肺癌で使用することが多く、ナビゲーションやGS-TBNA(下記症例)などを併用して、2cm以下の微小病変に対しても診断率80%以上を維持しています。

(A) CT、(B)エコー画像、(C) 透視画像。気管支の交通がなく、通常は診断が困難な病変に対しても、穿刺針 (D) を利用して病変内への道を作り、到達することが可能です (E、F)。

若手医師教育と学術活動

EBUSの登場によって、気管支鏡は術者単独ではもはや成立しない、チーム連携が必須な検査となりました。そのため、準備から介助、検体処理に渡り、専門的な指導が欠かせません。

当科で一般の気管支鏡検査を担当するのはレジデント年代の若手が大半で、皆やる気と活気に満ち溢れています。

週2回、気管支鏡カンファレンスを行い、枝読みや使用デバイスの選択などの術前シミュレーション、病理組織標本を供覧しながらフィードバックを徹底して行い、若手教育にも力を注いでいます。

また、cryobiopsyやEBUSでの臨床研究を計画しており、学術活動も積極的に行っていく予定です。

当院の気管支鏡検査にご興味、ご質問がおありの医療従事者の方は、内視鏡担当:今林までご連絡ください。([maillink mail=”mailto:imabayas@koto.kpu-m.ac.jp” text=”imabayas@koto.kpu-m.ac.jp”])

喘息

現在、喘息とは慢性の気道炎症であると捉えられるようになってから、その疾患概念に沿って、喘息の管理治療が行なわれています。私達は、喘息管理にピークフローの自己測定を行なっています。

ピークフローを用いた管理

重症の喘息患者では可能な限りピークフローの自己測定による喘息管理を行なっています。私達は、喘息患者のピークフローの日内リズムを検討しました。その結果、喘息患者のピークフローは日内リズムを持ち、サインカーブで近似することができること、また、午前4時30分前後に最低になり、午後4時30分前後に最高になることがわかりました。このことから喘息の指標に日内変動を用いる場合は早朝起床時および夕方4時30分前後に測定するのが適当と考えられます。さらに、吸入ステロイド薬、長時間作用型β2刺激薬による治療後においても、ピークフローの日内リズムは維持され、時間的位相は変化しないことが判明しました。これらのことを考慮に入れ、夜間早朝の喘息症状を軽減するために気管支拡張薬の投与時間を決定しています。

呼気NO測定

喘息の診断・治療において注目を浴びている呼気中NO濃度を測定しています。診断に苦慮する症例や喘息コントロールの指標に期待されています。2013年6月に保険収載されたため、今後測定可能な施設が増えると思われますが、まだまだ広く普及していないのが現状です。治療の進歩とともに、喘息をお持ちの場合も治療によって安定することが多くなりました。喘息症状でお困りの場合は、主治医の先生とご相談の上ご紹介頂けますと適切な診断と治療を提案させて頂きます。

呼気中NO濃度測定機器 写真

呼気中NO濃度測定機器

COPD

COPDは、慢性閉塞性肺疾患という肺の病気で、呼吸がしにくくなるのが特徴です。主な原因は喫煙で、喫煙歴があり、咳やたんが続いたり、階段登高時や重いものを持ったときに息が切れたりする場合には、COPDの可能性があります。COPDに対しては、気管支拡張剤などの吸入療法を中心とした薬物療法と、禁煙指導、呼吸法の指導、運動療法、栄養指導、酸素療法などを包括的に行う呼吸リハビリテーションがありますが、当科では必要な方に、入院による呼吸リハビリテーションプログラムを作成しています。プログラムには、呼吸器内科医、看護士、理学療法士、作業療法士、栄養士、薬剤師など多職種のスタッフが参加し指導していきます。

COPD

また当科では、最近のCOPDに対する各種吸入薬の有効な組み合わせや使用方法の研究や、喫煙による肺機能への影響を経年的に比較し、喫煙が肺機能の低下を来たす要因も検討しています。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、夜間の頻回に起こる無呼吸発作によって、さまざまな疾患の引き金になることが知られています。当科では、無呼吸発作による血圧の変動を検討し、無呼吸発作が脳血管障害の危険因子であることを証明してきました。

睡眠時無呼吸症候群

また、睡眠時無呼吸症候群の診断のためにPSGを実施し、必要な方にはCPAP治療を導入しています。CPAP療法は確立された治療法ですが、いかに継続するかが重要です。そのために、CPAPの有効な使用方法、どれぐらいの使用時間が効果的で、どの程度まで無呼吸を抑制すればいいのか、今後の検討課題としています。

PSGの検査風景

Contact

〒602-8566
京都市上京区河原町通広小路上ル梶井町465
京都府立医科大学 呼吸器内科学教室

TEL:075-251-5513

FAX:075-251-5376

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